医療法人 藤浪歯科
医療法人 藤浪歯科
Feb 5, 2024
住之江区の歯科医の藤浪歯科です。 今回はスポーツにおける「外傷」に関するお話です。 外傷といっても捻挫や打撲の話ではなく、お顔まわりの外傷のお話になります。 顔周辺のスポーツ外傷には、歯の破折や脱臼(抜け落ちること)、顎骨折、軟組織の損傷などがあります。一般的に、コンタクトスポーツで受ける頭や顔面へのダメージは交通事故などよりは複雑ではないが、その割合は口周辺や顎の骨に発生する確率が高いといわれています。特に、口周囲では、先ほど述べた外傷が多く、主に上の歯の前歯によく発生することがわかっています。骨では、下顎の正中部の骨折が多く、他には、エラの部分の骨や頬の骨などの骨折が多いと言われています。 スポーツ外傷を考える場合、歯や骨の骨折だけではなく、脳震盪(のうしんとう)に関しても考えなければいけません。脳震盪はコンタクトスポーツにおいて年間20人に1人の割合で経験すると言われています。強豪のボクシング部で言えば、1チームで1人は脳震盪を起こしていることになります。めちゃくちゃ多いです。ラグビーやサッカーなどのフィールドスポーツにおいても、例えば軽い脳震盪であっても繰り返し受傷することで、脳が萎縮して様々な障害をきたすといわれています。1回脳震盪を起こすと、2回目の頭部打撲による脳震盪の発生率は4倍になることが知られており、この繰り返しが脳へのダメージをひろげることになります。プロボクサーの井上尚弥選手のパンチは百選練磨の相手選手の想像の上をいく破壊力があるとよく聞きますが、そのパンチが顎にあたれば、その力は下顎の骨を伝って直線的に脳に伝わり、頭の骨と脳みそは逆方向に回転し、軽い場合は脳震盪を、程度が強い場合は脳幹の毛細血管を切断し、脳損傷を起こす危険があります。ボディのパンチ1発で相手が悶絶している姿をみると、いかにデンジャラスかわかりますね。 さて、我々は幸いにも井上選手のパンチを顔面に受けることはありませんが、スポーツをしていれば、やはり顔面に外傷を受ける危険は常にあるので、いかに予防するかが重要になります。そこで我々歯科医療に携わる者の使命として、顔をスポーツ外傷から保護するために、保護装置である「マウスガード」の使用を普及することが挙げられます。 このマウスガードは義務化されているスポーツもあれば、推奨、許可されている競技もあります。ボクシングや空手などの格闘技はもちろん、アメフトやラクロス、ラグビーも義務化されている競技の一つになります。サッカーは近年装着する選手が増えていますが、そもそもサッカーでの外傷は比較的少ないとの報告もあり、関係者の間でその必要性があまり認識されていないのかもしれません。リバプールで活躍する遠藤航選手は2020年ころからマウスガードを装着してプレーしており注目をあびています。調べたところ、かれのマウスガードは通常推奨されている素材とは異なり、カーボン製らしく、その形状も特殊な形態をしていました。その素材と形態がはたして本当にいいかどうかわかりませんのでなんともいえませんが、試合中のかれの口元にはみなさまで熱視線を送っていただきたいものです。スポーツ歯科の権威である大阪大学名誉教授である前田芳信先生とお話する機会がたまにあるので、次回お会いした際、「カーボン製の遠藤航マウスガードはかっこいいが、機能面は効果あるのか?」と質問したいと思います。 住之江区、住吉区、阿倍野区、堺市で活躍するアスリートのみな様にマウスガードを提供していますので、ご興味のある方は是非スタッフまでご相談ください。