Aoba Medical Care Clinic
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Apr 10, 2020
降圧薬と新型コロナウィルス感染症(COVID-19) 多くの方で使用されている降圧薬: ・ARB(一般名:下4文字〜サルタン) ・ACE阻害薬(一般名:下3文字〜プリル) では悪化しやすいのか否か、についていま専門家の間で注目され、早くも一部のメディアで取り上げられております。 SARS-CoV-2(新型コロナウィルス)が体内に侵入する際の拠点が全身(肺・心臓・腎臓・消化管など)の細胞の表面に存在する「ACE2」という受容体です。一般に、ACE2は臓器を保護するように働くのですが、SARS-CoV-2は侵入後にこれを抑えてしまい、他の臓器障害系物質を誘導し病状を悪化させているのではないか?と考えられています。 そしてこのACE2を降圧薬のARB、ACE阻害薬が普段から増やしてしまっており、ウィルスの侵入を許し易くし状態を悪化させているのではないか?ということです。 しかし、結論は明らかになっておりません。この仮説のメカニズムをヒト・動物で説明できるエビデンスがまだ不十分なのです。服用者は極めて多いので、これだけの理由で悪化するのであればより多くの高血圧患者で感染が明らかになっているはずです。 現在のところ、米国心臓協会、国際・欧州高血圧学会、日本高血圧学会など多くの学会や、NEJM誌・Hypertension誌など著名な医学雑誌でARB・ACE阻害薬を中止しないように勧告しています。 なぜならば、ARBによる腎保護効果、ACE阻害薬による心・腎保護効果などは降圧効果と共に絶大であり、休薬によるリスク・デメリットがCOVID-19の重症化よりも上回る可能性が高いからです。 以上より、該当する方が現時点で過剰に心配し、むやみに変更する必要はないでしょう。 いま皆さんにできる降圧対策は、内服遵守に加え減塩とカロリー制限です。ストレス回避と十分な睡眠、筋力維持も血圧管理には大事なことです。何よりも、引き続き感染対策に努めていきたいところです。 今後も各機関からの声明・情報が入り次第、更新したいと思います。